コーヒー豆はコーヒーの木から摘み取られた後この「精製」という工程を経ます。
コーヒーの果実はその色や形がさくらんぼに似てることから「コーヒーチェリー」と呼ばれます。さくらんぼは種を捨てて実を食しますが、コーヒー豆は実を捨てて種(豆)を使用します。
収穫されたコーヒーの果実からコーヒー豆を取り出す工程を精製処理と言います。この処理工程は・ナチュラル・ウォッシュド・パルプドナチュラルと呼ばれる3つの方法があります。
3つの方法のいずれかにするにしても、収穫後の果実(チェリー)は長時間放置しておくことは出来ません。
特に完熟したチェリーは糖度が高く腐敗しやすく、時には発酵してしまい、異臭を発生したりします。
今、大きな農場では衛星回線を利用したりして、収穫したチェリーを短時間で精製処理場に届けるように工夫、改良がなされています。
1、ナチュラル
非水洗式や自然乾燥式といわれる方法です。
果肉を付けたまま乾燥させ、乾いた後に果肉と外皮を除去する方式で、ブラジル・エチオピアなどで行なわれている方式です。
収穫した果実を乾燥場に平らに広げ、天日で自然乾燥します。
ナチュラル方式は広い乾燥場を必要としますし、雨などの自然環境に左右されやすい欠点もあります。
均一に乾燥させるために頻繁にチェリーを攪拌する作業をしなければなりません。
現在は、収穫後果実を水洗いしたり、比重選別機にかけたりして完熟果実のみをふるいわけてから乾燥場に運んだりする農場もあります。
また、乾燥場の地面も、土・コンクリート・やしの葉などを敷いた床やハンモック上のものまで、多様化されています。
ナチュラル式で乾燥されたコーヒー豆は天日乾燥により果肉の甘味を充分吸い取り、甘く柔らかな酸味と豊かなコクを持った、とても魅力的な味のコーヒーになります。
2、ウォッシュド
水洗式と言われる方式です。
パルパーと呼ばれる、果肉を除去する装置を使い、チェリーの外皮と果肉を取り除き、パーチメントを取り出し、そのパーチメントに付着した粘液質を発酵工程で除去し、その後乾燥させる方式です。
通称、フリィウォッシュドと言われ、コロンビア、ケニアやタンザニアなどの国々で採用されています。
パルパーにより果肉などを除去されたパーチメントを発酵槽に入れ、発酵させ、付着した粘り気のある粘液質を取り除いた後に、水洗槽に送られ、水洗いを経て乾燥場に送られます。
チェリーの熟度や処理場の気温や水温により、発酵の時間を調節しなければなりません。
一般には気温の低い高地では長い時間・逆に気温の高い低地では短い浸け置き時間となります。
きちんと時間管理や温度管理ををしていないと良いコーヒーが出来ないというのはいうまでもありません。
フリィウォッシュドのコーヒーは洗練された綺麗な酸味を有するコーヒーになります。
但し、この工程には大量の水を使用するということと、除去した粘液質による水質の汚染がコーヒーの生産現場で、自然環境の維持という問題に直面しています。
3、パルプトナチュラル
近年ブラジルなどで増えてきている処理方法です。
パルパーから出てきた粘液質の付着したままのパーチメントをそのまま乾燥させる方式です。
ナチュラル方式とウォッシュド方式の良いとこ取りの方式ともいえます。
粘液質を付けたまま乾燥させることで、コーヒー豆に甘味を吸い取らせることが出来、薬品臭や発酵臭が出てくる危険性も低減することが出来ます。
今後この方式が多くなってくるように思います。
4、その他
コーヒーの実を食した動物が排出した糞から取り出したパーチメントを使うコーヒーもあるそうです。
私はまだ飲んだことがございませんが・・・・・
また、水を使わずに果肉を取り除くという方式も開発されてみているそうです。